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金継ぎのニアミス分子

住人:金継ぎのニアミス分子

“An ultra-stable gold coordinated protein cage displaying reversible assembly”

Malay et al., Nature 569: 438-442 (2019)

住人INFORMATION
分子の世界に新しいニアミス立体が登場しました。正十一角形様でリング状のタンパク質複合体(TRAPという細菌由来のタンパク質が同心円状に11個集まったもの)が金イオンを介して集合して、対称性が高い謎の超分子構造ができました。あたかも24の正十一角形からなるかご状の構造で、表面には大小の穴があります。これは形として新しいだけでなく、驚くのは「正十一角形」が含まれていることです。そもそも、正十一角形は、角柱や反角柱を除くと、正多角形の面だけからなる凸多面体には見つかりません。このパラドックスのような構造は、幾何学的な視点から解き明かされました。正十一角形の中心を頂点として辺で結ぶと、つまり双対を作ると、アルキメデスの立体の一つである変形立方体が現れるのです。双対の双対は元の形ですので、変形立方体の双対(五角二十四面体)が謎の構造の正体であるはずです。しかし、五角二十四面体を構成する面は、背伸びしたような五角形で、正十一角形ではありません。ところが、正十一角形の辺を一つ置きに5辺伸ばしてつなぐと、背伸びしたような五角形と大変よく似た形になり、辺の長さや内角を比較すると偏差がわずか0.5%以下でした。何という偶然でしょう。このような小さな幾何学的な不具合は分子構造の中では全く見えなくなりました。結局、正十一角形様の複合体は5つの辺を介して互いに結合し、結合に寄与しない残り6つの辺がかご状構造の表面に小さな穴や大きな穴を残したのです。最後に、論文の実の目的は少し異なり、タンパク質のシステイン残基に金属イオンを配位させる手法を用いると、とても安定なタンパク質複合体を簡単に形成できて、しかも還元剤を加えると簡単に解離できることを示しました
部屋番号:V24[524]F38[33246]

変形立方体

構造INFORMATION
アルキメデスの立体の一つで、ちょっと不思議な形をしています。頂点は24(5価x24)、面は38(三角形x32と四角形x6)。各頂点は一様で、5つの面に囲まれています(三角形、三角形、三角形、三角形、四角形、{3, 3, 3, 3, 4})。八面体対称でも、鏡像体のあるタイプです。正六面体の四角形を互いに引き離して隙間を作り、そこに32の三角形を均等に入れたような形で、四角形の面が右または左に傾きます。これと同型の形は、斜方立方八面体V24[424]F26[38418]の一部の四角形(三角形の間に挟まれた四角形、計12)を2つの三角形に分けたり、切頂八面体V24[324]F14[4668]の各六角形を4つの三角形に分けたりしても得られます。双対は五角二十四面体V38[33246]F24[524]で、カタランの立体の一つです(これも鏡像体があります)。

多面体アパート

Class: 5deg 3gon 4gon

 

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