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対称性の破れ

住人:対称性の破れ

“Chiral symmetry breaking yields the I-Au60 perfect golden shell of singular rigidity”

Mullins, et al., Nature Communication 9: 3352 (2018)

住人INFORMATION
自然たまにひねくれたことをします。せっかくの美しい姿を、あえて歪ませて変な姿にすることがあるのです。この論文では、貴金属である金でそのような現象が報告されています。60原子からなる完璧な対称性をもった斜方二十・十二面体型の黄金クラスターIh-Au60、が、自発的にねじれた姿I-Au60に変わるのです。その形とは、アルキメデスの立体の中でも特に奇妙な変形十二面体で、右手と左手のように鏡像体がある形でした。原子の数は同じままで、原子間の結合(金原子間相互作用)だけが変化します。これはちょうど、斜方二十・十二面体を構成する四角形が、それぞれ2つの三角形に分割するような変化です。これにより、配位数(頂点の価数に相当)が4から5になり、原子間の相互作用が増します。また、変形十二面体は見た目が変でも、アルキメデスの立体の中で最も球に近い形です。その結果、金原子のクラスターは、コンパクトで安定な黄金の球体へと変わっていたのです。だだし、この現象は金原子の特殊な性質に依存していて、どこでも見られる訳ではなさそうです。そもそも、変形十二面体の形をした物質自体ほとんど知られていませんでしたので。
部屋番号:V60[560]F92[380512]

変形十二面体

構造INFORMATION
13種類のアルキメデスの立体の中で、鏡像体を有する形が2つあり、その内の一つです(他は、変形立方体)。頂点は60(5価x60)、面は92(三角形x80と五角形x12)。各頂点は一様で、5つの面に囲まれています(三角形、三角形、三角形、三角形、五角形、{3, 3, 3, 3, 5})。二十面体対称でも鏡像体のあるタイプ(I)。正十二面体の五角形を互いに引き離して隙間を作り、そこに80もの三角形を均等にねじこむと、どうしても五角形の面が右または左に傾きます。全体としては整っているのですが、とても不思議な形です。これと同型の形は、斜方二十・十二面体V60[460]F62[320430512]の各四角形を2つの三角形に分けたり、切頂二十面体V60[360]F32[512620]の各六角形を4つの三角形に分けたりしても得られます。

斜方二十・十二面体

構造INFORMATION
アルキメデスの立体の一つです。頂点は60(4価x60)、面は62(三角形x20、四角形 x30、五角形x12)。各頂点は一様で、4つの面に囲まれています(三角形、四角形、五角形、四角形{3, 4, 5, 4 })。二十面体対称(Ih)。これは、正十二面体の五角形を互いに引き離して隙間を作り、もとの辺の位置に正方形を入れ(計30)、もとの頂点の位置に三角形を入れた(計20)ような形です。

多面体アパート

class: 5deg 3gon 5gon

 

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