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細胞の中の小さな包装係

住人:細胞の中の小さな包装係

“Cryo-EM of multiple cage architectures reveals a universal mode of clathrin self-assembly”

Morris et al., Nature Structural Molecular Biology 26: 890-898 (2019)

住人INFORMATION
真核細胞には膜輸送というユニークな物流システムがあり、タンパク質などの生体分子を小さな球状の膜(小胞)に載せて輸送します。クラスリンは構造タンパク質で、小胞を作るときに必要です。クラスリンの複合体(triskelion)は、中心から3方向に渦巻くように伸びた形をしていています(3価の頂点と辺に相当)。膜をちぎって小胞を作るときに、クラスリン複合体が足場となり、膜を外側から包み込むように自己集合しながらかご状構造を形成します。かご状構造は、主にフラーレンのような形です(頂点は3価、面は五角形と六角形)。この論文では、低温電子顕微鏡法を用いて、サツマイモ、テニスボール、たる、リンゴなどのあだ名がつけられたかご状構造を観察して、大きさや形の異なるかごを上手に編みあげるクラスリンの特徴を考察しています。ここでは、論文の中の形から2つ、“テニスボール” C36:14 D2dと”たる”C36:15 D6hを選んでいます。これらはともに、C36フラーレン構造です。この構造には、15種類の異なる形が考えられるのですが、その中でも自然に形成され易い形(自己集合しやすい形)がこの2つになります。これは、幾何学的な観点から予想されています(Schein and Sands-Kidner, (2008) Biophysical Journal 94: 958-976)。
部屋番号:V36[336]F20[51268]

C36フラーレン構造 C36:14 D2dとC36:15 D6h

構造INFORMATION
C36フラーレン構造には15種類の異なる形が考えられ、その内の2つです(14番目と15番目)。頂点は36(3価x36)、面は20(五角形x12と六角形x8)。C36:14 D2dは、少しいびつなボールの形で、テニスをすると変な方向に飛び跳ねそうです。180度(=360/2)回転しても形が同じに見える軸があり、その軸を立てて横から見ると、形が上下でねじれています。これは反角柱のような対称性です。C36:15 D6hは、角ばった樽のような形です。60度(=360/6)回転しても形が同じに見える軸があり、その軸を立てて横から見ると、形が上下で同じです。これは角柱のような対称性です。

多面体アパート

Class: 3deg 5gon 6gon

 

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